日本の中心地から離れた場所にある鹿児島では、食べ物や工芸品も独自の発展を遂げました。その一部を紹介します。
黒豚(かごしま黒豚)
約400年前に初代薩摩藩主・島津家久により琉球から移入された豚がルーツといわれ、現在もより上質な黒豚を育てるための研究や改良が続けられている。美味しさのポイントは、さっぱりとヘルシーな甘みの脂と柔らかく歯切れが良い赤身。特に、鹿児島の食の代表格である「かごしま黒豚」は、かんしょを飼料に加えて飼育しており、旨味成分を多く含んでいる。
黒牛(鹿児島黒牛)
きめ細かく柔らかな肉質と、さらりと上品な脂が特長の「鹿児島黒牛」は、最近ではアジアを中心にアメリカやEUなど、海外でも人気が高まっている。また、平成29年9月に開催された第11回全国和牛能力共進会では、栄えある総合優勝を獲得するとともに、最も優れた牛肉に贈られる最優秀枝肉賞も受賞し、和牛日本一に輝いた。
黒さつま鶏
日本三大地鶏のひとつといわれている「薩摩鶏」を父に、「ごいし」の愛称で親しまれる横斑プリマスロックを母にもつ、鹿児島の新しい「黒」ブランド地鶏。他の地鶏に比べ脂のノリが良く、適度な歯ごたえとジューシーさを堪能できる。熱を加えても硬くならず、冷めても美味しい。新鮮な刺身は一食の価値あり。
焼酎
蒸留酒の一種。鹿児島では芋を原料にした芋焼酎が主に製造・飲まれている。クセの強い香りと芋の甘い風味が特徴。また、奄美群島にはここでしか製造できない黒糖を使った黒糖焼酎もある。こちらはサトウキビの糖蜜の蒸留酒で、洋酒に近い味わい。
薩摩焼
文禄・慶長の役の際に、島津義弘公が朝鮮から連れ帰った李朝の陶工たちによって始められた焼き物。長い時間をかけて独自の発展を遂げた。島津藩が単独で出展した1867年のパリ万博でも展示されたという。白地に華やかな絵が描かれた高級な「白薩摩」と、大衆向けの丈夫な用雑器「黒薩摩」がある。
黒酢
屋外に並べられた陶器の壺に、蒸し米と米麹と地下水で仕込む壺作り純米黒酢。太陽エネルギーの力で発酵させ一年以上かけて大事に育てられる。まろやかでコクのある風味は、良質の原料米から生まれる豊富なアミノ酸、有機酸等によるもので、長期間の熟成によりさらに味わい深いものになる。近年は特に美容と健康を気遣う人たちの間で注目が集まっている。